去る1月28日、栄ガスビルで、福島原発事故損害賠償愛知弁護団の主催により「原発事故損害賠償説明会+よろず法律相談会in愛知」が開催されました。

福島原発事故損害賠償愛知弁護団は、主に愛知県内に避難している被害者の、東京電力に対する適正な損害賠償を実現するため、昨年10月20日に50名の弁護士で結成されました。

愛知県受入被災者登録制度の登録数によると、本年1月時点における愛知県内への避難者は1193名(519世帯)、うち福島県からの避難者が772名(301世帯)と群を抜いて多い状況です。その中には、東電への賠償請求に関する悩みや疑問を抱えつつ、どこに相談すればよいかわからないでいる方が多数いると思われました。そこで、当弁護団では、愛知県被災者支援センターとの共催で、本説明会を開催する運びとなりました。

説明会には、愛知県及び近郊から、関東の避難者を含む計25家族が参加され、個別法律相談にも17家族の申込がありました。

説明会では、まず、細井土夫団長より、弁護団の目的と活動内容について、次に福島県名古屋事務所の古俣所長より福島県の近況についてお話があり、澤健二弁護団事務局次長と堀龍之副団長から、東電への損害賠償請求の方法(直接請求、原発ADR、訴訟)と現状、弁護団への依頼方法について説明がなされました。

東北弁で訥々と、「もう福島に帰ることはない」と、現状を語られた避難者の報告では、ふるさとの人、土地、自然、産業を丸ごと失うという途方もない原発事故被害の重みがリアルに伝わってきました。「原発が人の命より大切なわけがないです。」との締めくくりには、その「当たり前」が実現されていない現状において、被害者の側から発信する弁護士の責務の重さが痛感されました。

続く個別相談で、私は、緊急時避難準備区域(南相馬市)から避難してきた若いご夫婦とお子さん二人のご家族の相談を担当しました。相談者は、緊急時避難準備区域解除後の南相馬へ戻るべきかを迷い、福島と愛知の双方にアパートを借り続ける二重生活を余儀なくされていました。また「賠償金目当て」「故郷を棄てた」などの周囲の偏見、避難先の無理解にも悩まされていました。

印象的だったのは、相談者が「私たち被災者、いえ被害者は・・・」と、言い直されたことです。抜本的な救済のためには、適正な賠償の実現は当然として、原発推進政策下で安全対策を怠った政府、東電の政策責任を明確にし、「人災」の拡大を食い止める必要があります。

弁護団では、今後、3月、4月にも原子力損害賠償紛争解決センターへの集団申立を予定しています。ちょっとした疑問、悩みも相談しやすい弁護団であるために、被災者交流事業も積極的に展開する予定です。どうぞお気軽にご連絡下さい。